基礎講座|精密ポンプ技術 2-1. 脈動 脈動とは

脈動

脈動を理解すれば、ダイヤフラムポンプのトラブルは激減します。
(図1)のサインカーブがダイヤフラムポンプの吐出波形であることは既に述べましたが、それではどうしてこのような波形になるのでしょうか。
ダイヤフラムポンプの駆動方式としては、一般にバックスプリング式とクランク式とがありますが、ここではバックスプリング式でご説明しましょう。

ダイヤフラムポンプの駆動源としては、一般にモータが使用されます。
モータの高速回転を減速機を介して回転軸に伝え、エキセン軸と回転軸の偏芯関係を利用して、ピストンを往復運動させます。

(図2)は、回転軸の中心と偏芯カムの中心とが一致している、つまり偏芯量がゼロの場合を示しています。この場合、偏芯カムはピストンの運動に何等関与せず、ピストンは全く動きません。
今度は(図3)・(図4)のように、回転軸の中心と偏芯カムの中心とがずれている場合を考えてみましょう。(ε: イプシロン)

 

 

この場合、偏芯カムの中心Oは回転軸の回転に伴って円周S上を動きます。
したがって偏芯カムは大きく振れながら回転することになります。

 

(図3)と(図4)を見ると、ピストンは結果として点O1から点O2の分だけ前後することがわかります。
具体的には2×ε、つまり偏芯量の二倍だけ往復運動することになります。たとえば偏芯量が4mmであれば、往復運動距離(ストローク長)は8mmになります。

ここで注意していただきたいことは、点Oが円周S上を移動するため、ストローク長が0からMax.に達するスピードは一定でないということです。
このときのピストンのスピードをグラフに表わすとサインカープが得られるという訳です。

ピストンのスピードがだんだん速くなり、まただんだん遅くなる、というイメージです。
したがって、このピストンの動きに応じて液体が吸引、吐出されるのですから、液体のスピードもほぼサインカーブ特性を示します。(実際には液体と配管などとの摩擦力によって、やや波形が崩れます。)
配管中やポンプ内部を流れる液体のスピードも速くなったり遅くなったりを繰り返しているということです。
ここでもう一度、(図5)の波形を見てください。

実線で示されているカーブは吐出波形、点線の場合は吸込波形です。このことが何を意味しているかといいますと、往復動ポンプでは吐出側、吸込側共にサインカーブ特性の流れが発生するということです。
またこのグラフは、液体の吐出と吸入とが交互に行なわれることも示しています。

これがダイヤフラムポンプの大きな特徴である「脈動」です。

 

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