基礎講座|精密ポンプ技術 3-1. オーバーフィード現象が原因で起こるトラブル

 現場で「吐出量が多く出すぎている」というトラブルがあります。原因の多くはオーバーフィード現象です。 

 例:ボイラーに清缶剤を注入しているが、定格吐出量に比べて2倍以上出ている

 

 

 

(図1)普段はサイホン止めチャッキ弁を介してボイラーに薬注
(図2)サイホン止めチャッキ弁をボイラー側に残したまま、ホースを外して吐出量を測定

 

サイホン止めチャッキ弁を接続せずに吐出量を測定したことに問題がありました。つまり、液体の慣性力を打ち消すもの(ここではサイホン止めチャッキ弁)がないために、オーバーフィード現象を起こしていました。この場合は、サイホン止めチャッキ弁をホース先端に接続して、吐出量を測定しなければなりません。
また、配管内径が細いほど、また配管が長いほど、慣性抵抗が大きくなるため、配管(ホース)の内径と長さにも注意する必要があります。

物理法則にF = mα という公式があります。カ(F) は質量(m) と加速度(α) の積で表わせるというものです。ここで重要なことは、加速度が同じであれば質量が大きいほど大きな力になるということです。
これをポンプのホースに当てはめると、ホース中の液体の質量( 重さ) が大きいほど、力( ここでは慣性カ) も大きくなります。つまり、ホースが長くなればなるほど中の液体が多く(重く)なり、慣性力も大きくなります。 
 

結論としては、
サイホン止めチャッキ弁を使用した時、慣性力がサイホン止めチャッキ弁の設定圧力以上になるとオーバーフィード現象が発生する可能性が大きい』ということになります。

 

タクミナの「スムーズフローポンプ」は、ダイヤフラムポンプでありながら脈動がないため慣性抵抗の影響をほとんど受けません。オーバーフィード現象自体を回避することができます。
詳細はこちら