基礎講座|精密ポンプ技術 8-1. ダイヤフラムポンプのガスロック現象

実際に、ダイヤフラムポンプのポンプヘッド内に気泡が混入するとどのような問題が発生するかを考えてみましょう。

ダイヤフラムが上死点、つまり最前位置にあるときに、(図1)のようにポンプヘッド内に気泡が混入したとします。

次にダイヤフラムが後方に移動するとポンプヘッド内部に負圧が発生し、気泡を広げます。(図2)
ほぼ同時に発生する負圧を解消するために液が吸引され、気泡の圧力と大きさは元に戻ります。
ここで、もし気泡がなければ液体はほとんど圧縮されませんので、ダイヤフラムが前方に移動すると、直ちに逆止弁(チャッキボール)を押し上げて液が排出されます。

しかし、ポンプヘッド内に気泡が混入している場合は、気体の「圧縮されると体積が小さくなる」という特性のために、次のようになります。

ダイヤフラムが前方に移動するにつれて、気泡が圧縮されていきます。これはボイルの法則(「4-1. エアチャンバーの原理」)によると、気泡の圧力が増大することを意味します。(蛇足ですが、気泡の周囲の液体も気泡と同じ圧力を示します)
このとき、吐出側の逆止弁(チャッキボール)を押さえつけている力よりもポンプヘッドの内圧が大きければ、逆止弁を押し上げて液や気泡が排出されます。(図3)

しかし、逆の場合、つまり(1)の力が(2)よりも大きくなると、事情は全く異なります。

(図4)のようになると、逆止弁がちょうどフタや栓の役目を果たし、ダイヤフラムが前後に移動しても中の気泡は膨らんだり縮んだりするだけです。したがって、内部の気泡や液は排出されません。
これがガスロックです。

ガスロックについては、注目テーマ(その他)「ガスロックとは」でも取り上げています。ガスロックを防止するタクミナの次亜塩素酸ナトリウム注入専用ポンプの動画<エアを排出する実映像>もアップしていますので、あわせてご覧ください。

 

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