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次亜塩素酸ナトリウムが注入できず殺菌されていないというトラブルはありませんか?
水道水、プール、浴場、食品工場など幅広い用途の殺菌剤として使われる次亜塩素酸ナトリウムは、分解しやすい薬剤で、エア(またはガスともいう)が発生して、ダイヤフラムポンプを使用していると、ガスロックにより注入できなくなることがあります。タクミナの次亜塩素酸ナトリウム注入専用ポンプは、このようなガスロックの問題を解消します。
ここでは、次亜塩素酸ナトリウムの基礎知識、ガスロックが起こるメカニズムについて解説します。

次亜塩素酸ナトリウムとは?

次亜塩素酸ナトリウムは塩素と水酸化ナトリウムから作られる殺菌剤・漂白剤です。次亜塩素酸ナトリウムによる塩素殺菌は、日本国内で現在最も普及しており、水道法にも規定されている殺菌方法です。他の殺菌方法に比べて低コストで高い殺菌力があり、しかもその効果が持続するという特長を持っています。
水道水やプール、浴場の殺菌の他、脱臭、脱色、酸化処理、除鉄・除マンガンなど、強い酸化力を利用した多くの用途があります。

名称

化学名:次亜塩素酸ナトリウム(Sodium hypochlorite)
化学式:NaClO
※12%溶液の比重は約1.2

製造方法

次亜塩素酸ナトリウムは、一般に水酸化ナトリウム水溶液に塩素ガスを反応させて製造します。

   2NaOH    +  Cl2   →   NaCl  +  NaClO  
(水酸化ナトリウム)  (塩素)    (食塩)  (次亜塩素酸ナトリウム)

※一般に市販されているものは有効塩素が4~12%の水溶液です。

性質

・殺菌作用
 水溶液にしたときの有効塩素が細菌や微生物の呼吸系酵素を阻害し、殺菌します。

・酸化作用
 発生期の酸素を生成し、無機物を酸化、有機物を水と二酸化炭素に分解します。

・漂白作用
 対象物の色素を酸化分解します。

次亜塩素酸ナトリウムのメリット

上水道、プール、浴場等における消毒法としては、安全性・コスト・設備の簡便さなどのメリットにより、次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌が最も普及しています。

メリット

  • 殺菌効果が高く、多種多様な菌に効果がある
  • 取扱いが簡単で安全
  • 殺菌効果の持続が期待できる
  • 残留塩素の測定が容易
  • 液体のため運搬・貯蔵、注入量の調整が容易で、自動制御による精度の高い管理が可能
  • 貯蔵設備(薬液タンク) の設置が簡単

次亜塩素酸ナトリウムの分解

次亜塩素酸ナトリウムは、日光(紫外線)、温度の上昇により食塩と酸素(エア)に分解されます。

・光化学分解
   日光、特に紫外線により分解が促進されます。日光に約20時間さらされた場合は、90%の有効塩素が食塩と酸素に分解
   します。

・加熱分解/自然分解
 温度の上昇とともに分解が促進されます。

2NaClO →  2NaCl   +   O2
(次亜)    (食塩)     (酸素)

ダイヤフラムポンプのガスロック現象

次亜塩素酸ナトリウムの注入において、注入量の正確さ、注入の確実さ、メンテナンス性の面で一般的にダイヤフラムポンプが使われます。ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラム(ゴムやテフロンの膜)を往復させることでポンプヘッド内の容積を変え、液体を送るポンプです。
※容積式ポンプの原理については、基礎講座「1-1.容積式ポンプとは?」をご覧ください。

次亜塩素酸ナトリウムをダイヤフラムポンプで注入する場合、次亜塩素酸ナトリウムのエアを発生しやすいという特性により以下のような問題が生じることがあります。

①エアが混入
②ポンプヘッド内上部に溜まる
③ポンプヘッド内のエアが圧縮されるだけで、液は吐出されない
④圧縮されたエアが元の大きさに戻るだけで液を吸い込まない

ポンプヘッド内にエアが混入すると、吐出側のチャッキボールがちょうどフタの役目を果たし、ダイヤフラムを往復させても中のエアは膨らんだり縮んだりを繰り返すだけで、液は全く吐出されません。
この現象が「ガスロック」です。

従来のダイヤフラムポンプにおけるガスロック解消方法

主に3つの方法があります。

1. エアを手動で排出させる
ポンプヘッド部のエア抜き弁を開き、吐出動作をさせることでにエアを排出します。手動で簡単にエアを抜くことができますが、ガスロックが起こるたびにエアを抜く作業が必要です。

2. エアの圧縮率を高めてエアを排出させる
吐出動作1回あたりの吐出量を大きくして圧縮率を高め、ポンプヘッド内のエアを排出しやすくします。しかし、大量のエアが混入した場合には、この方法は充分とはいえません。

3. 自動エア抜き弁を設けエアを排出させる
ポンプの吐出側配管を薬液注入配管とエア抜き配管に分岐させ、薬液を送ると同時にエアを少しずつ排出させる方法があります。この方法の場合、薬液注入配管内の圧力が高まると、エア抜き配管へエアだけでなく薬液も大量に流れるため、注入量が安定しないなどの問題があります。

①吸い込み
 発生したエアがポンプヘッド内に吸い込まれます。

②エア抜き
 吸い込まれたエアだけが、エア抜き弁を通過し、薬液タンクに戻ります。

③吐出
 エアがポンプヘッドから排出された後、次亜塩素酸ナトリウムは背圧弁・吐出側継手を経て、吐出側配管に送られます。

ガスロックを防止するタクミナの次亜塩素酸ナトリウム注入専用ポンプ

タクミナは、次亜塩素酸ナトリウム注入専用に開発された「DCLPW・CLPWシリーズ」をご用意しております。

                                  

            

CLPW 自動エア抜き機構実映像

動画はこちらです。