基礎講座|pH中和処理制御技術 2-3. pHとは? pH値の求め方
少し数学的に表現するとpHは、つぎのように定義されます。
pH =-log[H+]
logとは、対数(ロガリズム)のことで、x=10nのときnをxの対数といい、n=logxのようにあらわします。
たとえば、log2=0.3010は、2=100.3010ということをあらわしています。
0.01=10-2 → log10-2=-2
0.1=10-1 → log10-1=-1
1=100 → log100 = 0
10=101 → log101 = 1
100=102 → log102 = 2
1000=103 → log103 = 3
これからもわかるように、logで1だけ異なると10倍の違いに相当することになります。
純水な水のpHは、
pH=-log(1.0×10-7)=log10-7=7
0.1mol/Lの塩酸のpHは、
pH=-log(1.0×10-1)=-log10-1=1
(例1)
0.1mol/Lの塩酸中のOH-濃度はどれくらいになるでしょうか。
水のイオン積Kwは、つぎの式であたえられます。
水のイオン積Kw=[H+]×[OH-]= 1.0×10-14(mol/L)2
ここで[H+]は、0.1mol/Lなので10-1となります。これをKwの式へ代入すると、
[10-1]×[OH-]= 1.0×10-14
[OH-]=1.0×10-14/10-1=1.0×10-13
このように、1.0×10-13というきわめて小さい濃度にはなりますが、酸の中にも微量のOH-が存在しているということはちょっと不思議に思えます。
(例2)
0.01mol/Lの水酸化ナトリウムNaOH溶液のpHはいくらになるかを考えてみましょう。
水酸化ナトリウムNaOHは、水に溶けて次のように電離します。
NaOH→ Na++OH-
この式をみると、水酸化ナトリウムNaOH1モルから水酸イオンOH-1モルとナトリウムイオンNa+1モルとが生成することがわかります。
0.01mol/Lの水酸化ナトリウムNaOH溶液の水酸イオンOH濃度は、0.01mol/Lです。
水のイオン積Kwは、
[H+]×[OH+]=1.0×10-14(mol/L)ですから、この式に水酸イオン[OH-]=0.01mol/L=10-2mol/Lを代入すれば次のようになります。
Kw=[H+][10-2]=1×10-14
[H+]=1×10-14/10-2
[H+]=1×10-12
pH=-log[H+]であるからこれに代入すると
pH=-log(1×10-12)=-log10-12=12
したがって、0.01mol/LのNaOH溶液のpHは12ということになります。
0.01mol/LのNaOH溶液をつくるには、どうしたらよいでしょう。
それには、まずNaOH1モルが何グラムに相当するかを知る必要があります。周期律表からNa、O、Hの原子量はそれぞれ23、16、1とわかります。したがって、NaOHの分子量は、
Na= 23
O= 16
+)H= 1
NaOH=40
ということになります。
※NaOHのようなイオン結合の化合物にはNaOHなる分子は存在しません。したがって厳密にはNaOHのような化学式によって求めるものは分子量といわず式量といいます。
NaOH1モルは、40gですから0.01モルは40×0.01=0.40gということになります。仮に純度100%のNaOHがあり、0.40gを正確に測定して、純水を加えて1Lの溶液にすることができれば、このNaOHの溶液は、0.01mol/Lの溶液となり、pH12を示します。
※化学では、1Lの水に物を溶解させる操作と、水に溶解させたあと正確に1Lの溶液にする操作とを区別しています。それは、1Lの水に物を溶解させた場合、溶液が1Lになるとは、かぎらないからです。
したがって、ある物質の水溶液1Lを作りたい場合には、先に物質を少量水に溶かした後、さらに水を加えて全体を1Lに調整する必要があります。