基礎講座|pH中和処理制御技術 3-1. pHの測定 pH の意義

塩酸や硫酸等の強酸1mol/Lの溶液の水素イオン濃度〔H+〕は、それぞれ塩酸1mol/L、硫酸2mol/Lであり、水のイオン積〔H+〕×〔OH+〕は25℃で約10-14であることは、「2-1. pHとは?水の電離・水のイオン積」で説明しました。
そこで、この溶液の水酸イオン濃度〔OH-〕は、10-14mol/Lとなります。同様に水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムなどの強塩基の1mol/L溶液の水酸イオン濃度〔OH-〕は1mol/Lであり、水素イオン濃度〔H+〕は10-14mol/Lです。
このように私たちが通常取り扱う水溶液の水素イオン濃度は極めて広範囲(100~10-14mol/L)に変化するので、その表現を簡明にするために水素指数を用いて表わします。
水素指数は溶液1L中の水素のグラムイオン数の逆数の常用対数をとることも「2-3. pHとは?pH値の求め方」で説明しました。したがって次のようになります。

pH = 1/log〔H+〕 = -log〔H+〕 ・・・・(式1)

ただし、厳密には水素イオン濃度でなく水素イオン活量を用いますので、

pH = -log fH〔H+〕 ・・・・・・・・・・・(式2)


fHは溶液中の水素イオン活量係数です。fHの値は、希薄溶液では大体1に近いので実用上は(式1)を使用してpHの値を算出しても問題ありません。pHの単位を用いて溶液の性質を表現すれば、化学反応その他の解明に便利であるため、各方面で用いられるようになりました。
pH測定の方法は、その発展の過程として各種のものがあり、そのうち主なものは次の通りです。

  1. 指示薬を用いるもの
  2. 水素電極を用いるもの
  3. キンヒドロン電極を用いるもの
  4. アンチモン電極を用いるもの
  5. ガラス電極を用いるもの


これらのうち工業的に使用されているものは、1.の指示薬と5.のガラス電極の方法だけです。