基礎講座|pH中和処理制御技術 3-3. pHの測定 水素電極・キンヒドロン電極・アンチモン電極を用いるもの

現在のpH測定で最も多く用いられている測定方法は、ガラス電極です。その他、金属電極(3種類)の方法もあります。
※ガラス電極については、次回の記事でご紹介します。

水素電極を用いるもの

水素ガスを十分に吸着させた白金電極は水素電極と呼ばれ、これを被検液に浸すと、液の水素イオン濃度(正確にいうと水素イオン活量)に対応した電位を発生するので、被検液のpH値を求めることができます。
被検液に浸した白金黒つきの白金電極の下方から、水素ガスを少量ずつ吹き出させると、電極面に水素ガスが吸着され、被検液中の水素イオン濃度との差によってある電位が液と電極間に発生します。この電位を測るため、一定の電位をもった適当な他の電極(比較電極)を被検液の中に浸し、両電極間の電位差からpHを求めます。

水素電極による測定は、水素イオン活量そのものをはかるもので、pH測定の方法として用いられていますが、爆発の危険のある水素ガスを常時必要とするため、操作が面倒であり、また塩誤差その他の誤差も伴うので工業的な方法としては、あまり実用性がありません。 

キンヒドロン電極を用いるもの

キンヒドロン電極とは被検液にキンヒドロンを少量加え、よくかきまぜ飽和させた中に白金電極を浸したものです。このキンヒドロン電極と比較電極を浸して両電極間の電位差からpHを求めます。
この方法は、キンヒドロンが液に溶けるとその一部がキノン(C6 H4)O2になりますが、その割合が液のpHによって変わることを利用したものです。

この方法は、簡単ですがpHが8以下の対象にしか用いることができず、被検液の中に酸化性または還元性物質があるときも測定できないので、その適用範囲が極めて制限され、現在ではほとんど使用されていません。

アンチモン電極を用いるもの

みがかれたアンチモンの表面には酸化物が生成されており、これを溶液の中に浸すと、その酸化物は溶解し水酸化物になりますが、液のpHによってアンチモン水酸化物の電離平衡が異なることに着目したのが、このpH測定方法です。
その方法は、サンドペーパや布切れなどでみがいたアンチモン棒を比較電極と共に被検液の中に浸し、アンチモン棒と比較電極の間の電位からpHを求めます。

この方法は、構造上、丈夫で取り扱いやすいが電極の純度あるいは、みがき方によって指示が変化し、再現性が悪いなどの欠点をもっています。またアンチモンより電化系列の低い金属イオン(イオン化傾向がアンチモンより大きな金属、例えば、銅・ニッケルなど)が微量でも被検液の中に含まれていると大きな誤差を生じます。
したがって、主たる用途は、ガラス電極が使用できない含フッ素溶液の測定に用いられています。