基礎講座|pH中和処理制御技術 4-4. ガラス電極 電極の寿命・保守
ガラス電極の寿命
ガラス電極の寿命はどれくらいか、という質問をよく受けますが、この問に対して一般的な回答というものはありません。ガラス電極を使用していると、各種の原因によって不斉電位の増加、電位勾配の減少、電気抵抗の増加などが生じます。
これらの原因の主なものは次の通りです。
- (1)
電極膜の腐食
- (2)
内部液の変質
- (3)
内部極の劣化
- (4)
電極膜の汚染
電極の保守
電極の洗浄
pH電極のガラス電極や液絡部に汚れが付着しますと、測定値が不安定になったり、応答速度が遅くなったりすることがあります。したがって、電極洗浄は、保守項目から欠かすことができないものです。
測定液の汚れの度合に応じて定期的に電極の洗浄を行なってください。
- (1)
- 懸濁物・粘着性物質・微生物などによる汚れの場合
- 純水または、清水で汚れを洗い落としてください。
- (2)
- 油性物質による汚れの場合
- ビーカなどに入れた中性洗剤溶液に浸して汚れを洗い落としてください。その後、純水または、清水で中性洗剤溶液を洗い落としてください。
- (3)
- 金属の吸着などの化学的汚れの場合
- 1~2%の塩酸溶液に数分間浸して汚れを洗い落としてください。その後、純水または、清水で塩酸溶液を洗い流してください。
標準液校正
電極の起電力は、電極の劣化が進行するとともにかわり、付着する汚れの影響もうけます。したがって正確な測定を維持するために定期的に標準液校正を行なってください。
尚、標準液校正の実施間隔は、測定液や運転条件によって異なりますので運転当初は、一週間毎に行なうなどしてデータを収集し、それに基づき決定してください。
電極内部液の点検
電極ホルダーの中の内部液(3.0moL塩化カリウム溶液)が充分入っているか確認してください。不足している場合は、補充してください。
その他
- (1)
電極系は高い絶縁性が必要ですから、常に接続部の乾燥に心掛けてください。
- (2)
いつも清潔な環境を保ってください。
- (3)
振動を与えないでください。
- (4)
接続部にゆるみや断線がないか、点検してください。