基礎講座|精密ポンプ技術 2-4. 脈動 サイホン止めチャッキ弁
サイホン止めチャッキ弁には3つの役割があります。
役割その1 流れ出る水を押さえて止めようとする働き
1つは文字通りサイホン現象を防止するという役割です。
サイホン現象というのは、ポンプ吐出側配管の先端位置が吸込側タンクの液面よりも低いために、ポンプを止めても薬液が流れ続ける現象をいいます。
小学校の理科の時間に、上のような実験を行なった方も多いと思います。ダイヤフラムポンプポンプも全く同じことが起こります。
ダイヤフラムポンプの場合、ホース内を水で満たすのは簡単で、スイッチを入れるだけです。あとはスイッチを切っても液が流れ続けます。
右図のようにタンク内の液面位置が吐出側配管の先端よりも高ければ、たとえ配管が点線のようになっていても、サイホン現象によって水がどんどん流れ出ます。
役割その2 慣性抵抗によるオーバーフィード現象を防止する働き
2つめは、慣性抵抗によるオーバーフィード現象を防止する働きです。配管の出口を慣性抵抗よりも大きな力で押さえつけるイメージです。一般にバネのカを利用して一定の圧力で押さえつけ、その圧力を上回ってはじめて弁が開く構造になっています。
このときポンプ(ピストン)は既に吸込工程に入っており、弁にかかる力は慣性力だけです。
Pa(パスカル)とは圧力の記号で、1m2あたり何N(ニュートン)の力がかかっているかを示します。なお、Paはポンプなどで使う圧力としては小さい値となり桁数が大きくなるため、Paの100万倍であるMPa(メガパスカル)を使うことが多いようです。
このとき慣性カは既に消えており、ポンプ(ピストン) が吐出行程に入っています。したがってダイヤフラムポンプの特性によって配管内部の圧力がスプリングのカに打ち勝ち、弁が聞いて液が排出されます。
実際の構造は次のようになっています。
役割その3 逆止弁の役割
そして、3つめは、逆止弁(チャッキ弁)としての役割です。
たとえば、上図のような現場を考えてみましょう。
もし、タンク内が高圧であったとすると、逆止弁がなければ、ホースをはずしたとたんにガスや液体が噴き出し、非常に危険です。そこで逆止弁を使用して安全を図る必要が出てきます。この逆止機構は、特にメンテナンスの際に有効です。
タクミナの「スムーズフローポンプ」は、ダイヤフラムポンプでありながら脈動がないため慣性抵抗の影響をほとんど受けません。オーバーフィード現象自体を回避することができます。
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