基礎講座|精密ポンプ技術 3-4. オーバーフィード現象の解決策3 慣性抵抗そのものをなくす
慣性抵抗そのものをなくす
オーバーフィード現象が慣性抵抗によって発生するということは、逆に言えば、慣性低抗そのものをなくせば、オーバーフィード現象は発生しない、ということになります。
ここでダイヤフラムポンプの特長をあらためて考えてみましょう。
ダイヤフラムポンプの特長
◆特長1 定量性が良い
1回毎に計量しながら送液するため。
◆特長2 吐出側の圧力変動によって吐出量はほとんど変わらない
逆止弁(チャッキボール)の働きで液が逆流しない。
◆特長3 渦巻ポンプに比べて微少量の注入ができる
プランジャーの径を小さくしたり、ストロークの回数を減らすことによって容易に微量化できる。
◆特長4 脈動が発生する
脈動を欠点と考えるのでははなく、活かすことを考える。例えば、容器への液の充填、間欠スプレー洗浄など。
慣性抵抗をどのようにしてなくすか
当り前のことですが、慣性抵抗をなくすためには脈動をなくすか、ほとんど無視できるくらいまで脈動を小さくすることが必要です。ここで注意しなければならないのは、上述のダイヤフラムポンプの特長(1~3)を維持しながら、脈動をなくすことです。
せっかく脈動をなくすことができたとしてもダイヤフラムポンプの特長が消えてしまえば、わざわざ高価なダイヤフラムポンプを購入する必要がないからです。安価な渦巻ポンプやチューブポンプを使用すれば良いのです。
このことを踏まえてダイヤフラムポンプの脈動を消す方法をあげると、以下のようになります。
●エアチャンバーを使用する。
●アキュームレータを使用する。
●3連スムーズフローポンプを使用する
●2連スムーズフローポンプを使用する
次回以降、順番にそれぞれ詳しく説明していきます。
タクミナの「スムーズフローポンプ」は、ダイヤフラムポンプでありながら脈動がないため慣性抵抗の影響をほとんど受けません。オーバーフィード現象自体を回避することができます。
詳細はこちら