基礎講座|滅菌・殺菌 14-1. 塩素による殺菌効果
現在最も普及しており、水道法にも規定されている殺菌方法です。他の殺菌方法に比べて低コストで、しかも残留性があり効果が持続するという特長を持つことが広く使用されている理由です。
従来は塩素ガスが用いられていましたが、猛毒のため取扱いに注意を要しました。そこで現在では、液体で毒性も比較的小さい次亜塩素酸ナトリウムが多く使われるようになりました。
塩素の殺菌機構
塩素の場合は、生きている細胞を酸化させることが殺菌作用ではありません。水溶液にしたときの塩素化合物が、細菌や微生物の呼吸系酵素を阻害し、細胞の同化作用を停止させて殺菌するといわれています。
この場合、殺菌の効果を及ぼすものは発生期の酸素(O)ではなく、塩素化合物(HClO、ClO-、NH2Cl、NHCl2、NCl3)であるとされています。
同化:取り入れた物質を自分のからだの成分に変える事
塩素を使用する場合のメリットとデメリット
メリット
- 残留性がある。(効果が長続きする)
- 水道法に規定されている。
- 比較的安価である。
- 次亜塩素酸ナトリウムの場合は液体なので取扱いが容易で、制御もしやすい。
デメリット
- 残留有機物と反応してトリハロメタン、MXなどの発ガン性や変異原性をもつ、有機塩素化合物を生成する。
- 貯蔵中に分解しやすい。
- 腐食性が強く、ステンレスであっても耐えない。
- ガス化しやすいため、ポンプで移送する際に送液不良を起こすことがある。(ガスロック現象)
- 塩素ガスを使用する場合は取扱いに注意を要する。