基礎講座|滅菌・殺菌 14-3. 紫外線による殺菌効果

日光が強い殺菌力を持っていることは古くから知られていました。これは太陽光線中の紫外線の作用によるものです。
紫外線の殺菌力は、特に260nm(ナノメーター = 10-9m)付近のものが最も強く、直射日光に含まれる350nm付近の紫外線の約1600倍に達します。これは細菌などのDNAが260nm付近の紫外線を良く吸収することを意味します。現在使用されている殺菌灯からは253.7nmの波長の紫外線が多く出ており、バクテリア、カビ、藻類、その他の微生物を短時間で死滅させる能力を持っています。

紫外線の殺菌機構

紫外線はDNA等の核酸に優先的に吸収され、微生物細胞内のDNAの鎖を変化させ死滅させます。

紫外線を使用する場合のメリットとデメリット

メリット

  1. 有害な副生成物を作らない。
  2. 薬剤の輸送、貯蔵、注入などの管理が不要。
  3. 設備が比較的簡単で低コスト。

デメリット

  1. 残留性を必要とする分野(例えば水道)では単独で使用できない。
  2. 水に吸収されて減衰しやすいので届く距離に限界がある。従って、大量の水を殺菌することができない。
    • 清澄な水では厚さ5cmごとに照度は約3分の2ずつ低下し、河川水では厚さ1cmごとに3分の2のエネルギーが吸収されます。
  3. 汚れた水の場合は紫外線発生ランプを頻繁に洗浄する必要がある。