基礎講座|滅菌・殺菌 4. 次亜塩素酸ナトリウムの希釈について
次亜塩素酸ナトリウムは通常6%~12%の濃度の溶液として流通しています。処理水量などによって次亜塩素酸ナトリウムの注入量が極端に少なくなる場合には溶液を希釈して使用することになります。
なお、希釈せず原液のまま使いたい場合はガスロックに強い液中ポンプ(ガスロックレスポンプ)GLXシリーズが有効です。
定量ポンプの選定
一般に塩素殺菌用の定量ポンプの能力選定の上では、「大は小を兼ねない」「過ぎたるはなお及ばざるが如し」です。
つまり、必要以上の能力をもつ機種の容量を絞って使うのはよくありません。
ご存知のように次亜塩素酸ナトリウムはガスを発生しやすく、ガスロックなどのトラブルが起こりがちです。
※ガスロックの詳細については、注目テーマ「ガスロックとは」をご覧ください。
ふつう、定量ポンプの容量を絞る場合は、ストローク長(ポンプ効率)を小さくするため、それだけガスが抜けにくくなります。(ストロークの早さで調整する場合でもストローク回数が少なくなるためガスが抜けるまで時間がかかります)
弊社でご用意している次亜塩素酸ナトリウム注入専用ポンプ(液中ポンプを除く)は、最大吐出量30mL/minの機種からです。
これらのポンプをできれば70%以上のストローク長(ストロークの早さで調整する場合は50%以上)でお使いいただくように選定・希釈倍率を設定してください。(モータ駆動定量ポンプのCSⅡ-10型では7mL/min以上、ソレノイド駆動定量ポンプのPW-30型では15mL/min以上)
※「1-2. 次亜塩素酸ナトリウム注入量早見表」では、できる限り15mL/min以上となるように希釈倍率(最大20倍)を設定しています。
希釈のメリット、デメリット
希釈には以下のようなメリットとデメリットがありますが、ガスロックが少なくなるという「最大のメリット」を考えれば、希釈するべきでしょう。
メリット
・ガスの発生量(次亜の分解)が少なくなる
・ガスロックが少なくなる
・注入先の塩素濃度が均一になりやすい
デメリット
・薬液タンクが大きくなる
・希釈の手間が増える
・極端に希釈するとpH値が下がり分解しやすくなる(20倍程度までを推奨)
・希釈水の水質(成分)によっては分解しやすくなったり結晶を生ずることがある
希釈倍率
原液での注入量を求め、選定した定量ポンプの能力のできるだけ高いところで運転できる希釈倍率を設定します。
希釈時の注意事項
希釈に使用する水に、地下水や井戸水を使わないでください。一般に地下水には鉄、マンガン、カルシウムなどが含まれています。
これらは次亜塩素酸ナトリウムと反応すると水酸化物のスラリーを生じます。このスラリーはタンク内や定量ポンプ、配管内に沈殿して次亜塩素酸ナトリウムの分解を早めたりポンプの弁座部のシール性を損ね吐出不良などのトラブルを引き起こします。
できるだけ純水または軟水器で処理した水を使って希釈してください。
なお、水質が良い場合は水道水が使えることもありますが、薬品が分解されやすいことに留意が必要です。