基礎講座|精密ポンプ技術 2-2. 脈動 ピーク流速(流量)の存在

配管設計上の留意点

1000mL/min。これは1分間に1000mL流れることを示すのは明らかです。しかし、ここに大きな落し穴があります。
極端な例ですが、水道水( 渦巻ポンプ) のような連続流の場合でも、また1分間のうちのほんの1秒間だけで全量流れてしまう間欠流の場合でも、同様に1000mL/minと表わせます。
そこまで極端なことはごく稀だとしても、ダイヤフラムポンプでは脈動が発生するため、後者に似た状況になります。

ダイヤフラムポンプの場合は、1分間に20~150回(ポンプによって異なります)に小分けして吐出するため、当然のことながら1回当たりの吐出量は連続流(ここでは1000mL/min)の平均値よりも大きな値になります。
これは(図1)の(2) のように瞬間流量が大きくなることを意味します。あたかもポンプの容量が大きくなったかのようです。

 

では、具体的にどの程度の大きさになるのでしょうか。

ダイヤフラムポンプのピーク流量は渦巻ポンプの π(3.14) 倍!

つまり、1000mL/minのダイヤフラムポンプは約3140mL/minの渦巻ポンプに相当するピーク流量が存在するということです。
従って、1000mL/minのダイヤフラムポンプを用いる場合の圧力損失計算には、3140mL/minを適用しなければなりません。

一般にダイヤフラムポンプに接続される配管径は、前記の理由により、渦巻ポンプの場合よりも大きく(太く)する必要があります。

ソレノイド駆動定量ポンプのピーク流量は渦巻ポンプの50倍以上!

ソレノイド駆動定量ポンプは、モータ駆動定量ポンプよりも更に大きな脈動を発生します。1秒の何十分の一から何百分の一というような瞬間と言ってもいいくらいの短時間で液体が一気に吐出されます。これはソレノイドが一種の電磁石であるため、放電(磁石の吸い付き)が瞬時に行なわれるからです。

したがって、大きな瞬間流速に伴う慣性抵抗も非常に大きくなります。
このためソレノイド駆動定量ポンプ に使用される継手やホースは、1分間当たり同量のモータ駆動定量ポンプと比べて更に大きなものになります。

 

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