基礎講座|滅菌・殺菌 12-2. 殺菌方法のいろいろ

一般に普及している浄水器の目的は、発ガン性物質などの汚染物質の除去です。しかしもっと重要なことは、それらを発生させないことです。そこで塩素に代替する殺菌方法がいろいろ考えられています。

オゾン(O3)処理

オゾンは強烈な酸化剤であり、有機物を簡単に分解してしまいます。また殺菌力もきわめて強いので、最近はプールの殺菌剤としてよく利用されています。ただし残留性がないため殺菌効果が持続せず、オゾンのみでは水道水の殺菌は、不十分なものとなります。やはり現在の所では次亜塩素酸ナトリウムとの併用が必要でしょう。
オゾンは、オゾン層問題などで人間にとって非常に有用なものとのイメージがあるようです。しかしオゾン自体は猛毒物質なのです。成層圏にある場合にのみ、強烈な紫外線から私たちを守ってくれるのであって、地上付近にあるオゾンは光化学スモッグの原因物質となります。
更に悪いことに、オゾン処理によってホルムアルデヒドをはじめとするカルボニル化合物が生成することが明らかになっています。これらの中には発ガン性や変異原性を有する化合物が含まれています。

紫外線処理

この方法は、殺菌効果が大きく、しかも副生成物ができないという利点を持っています。しかしオゾンと同様、残留性がないこと、また紫外線が水中で急速に減衰するなど、水道水での適用に対しては単独では疑問が残ります。

二酸化塩素(ClO2)処理

二酸化塩素処理の特長として、トリハロメタンなどの有機塩素化合物を生成しない、殺菌効果がpH値によって影響されない、しかも残留性(持続性)がある、といったことが挙げられます。欧米や韓国で認められている方法で、わが国においては、水道水の前処理やプール水の殺菌などに認可されています。
ただし二酸化塩素には、反応時に亜塩素酸を生成するという欠点があります。この亜塩素酸を多量に摂取すると、ヘモグロビン障害や貧血などが起こることがわかっています。また二酸化塩素は爆発性のガスであり取り扱いに注意が必要です。

煮沸

誰にでもできる最も簡単な方法です。確かに、煮沸は殺菌効果がきわめて大きく、トリハロメタンなども揮散してしまいます。ただし、揮散するのは沸点が水より低い(100℃以下)物質だけであり、沸点が水より高い物質はむしろ濃縮されることに注意しなければなりません。

最適な殺菌方法は?

では、安全な水を手に入れるために、どうすれば良いのでしょうか。
水道水そのものを安全に供給する技術としては、オゾンによって水中の有機物を分解し、活性炭で分解成分を完全に吸着除去し、最終工程で塩素(次亜塩素酸ナトリウム)を残留させる分だけ添加する方法が望ましいと思われます。塩素使用量を極限まで少なくしようというものです。
しかし、この方法は高度処理と呼ばれ、コストアップとなります。非常に水質の悪いところでは実際に実用化されつつありますが、全国に普及するのはまだまだ先になりそうです。従って、当面、現時点で最も経済的な方法である「次亜塩素酸ナトリウム」を用いた塩素殺菌が主流であり続けると思われます。
また、塩素臭やトリハロメタンの発生を最小限にするために、残留塩素濃度の上限を厳しく設定する必要があります。