基礎講座|滅菌・殺菌 14-4. 二酸化塩素による殺菌効果

従来から行われている塩素による殺菌は、(1)効果の信頼性が高いこと、(2)効果が長続きすること(残留性があること)、(3)低コストであること、などのため現在でも広く使用されています。また水道法にも規定されているように安全性も高いといわれてきました。
ところが、原水中の有機物と塩素とが反応してトリハロメタン、MXなどの有機塩素化合物が生成し、発ガン性の恐れがあると警告されています。そこで注目されているのが二酸化塩素による殺菌です。この方法は、プールの殺菌において既に認可されています。

二酸化塩素の殺菌機構

塩素系薬剤は、生きている細胞を酸化させるのではなく、細菌や微生物の呼吸系酵素を阻害し、細胞の同化作用を停止させて殺菌します。しかし二酸化塩素の場合は、酸化反応そのもので細菌や微生物を酸化分解することにより死滅させます。
従って、トリハロメタンの生成が塩素系殺菌剤に比べてはるかに少なくなります。またアンモニアが存在してもクロラミンを作らないので、殺菌力が低下しません。

二酸化塩素を使用する場合のメリットとデメリット

メリット

  1. トリハロメタン等有機塩素化合物を作らない。
  2. pH値によって殺菌効果がほとんど影響されない。
  3. 残留性があり効果が持続する。
  4. 脱臭、脱色に有効である。
  5. アンモニアやアミノ化合物の影響を受けない。

デメリット

  1. 水道法で認可されていない。(プールの殺菌剤としては認可されている。)
  2. アンモニアやアミノ化合物の除去ができない。
  3. 殺菌過程で亜塩素酸塩が生成し、ヘモグロビン障害や貧血を引き起こす恐れがある。
  4. 爆発性ガスのため取扱いに注意を要する。